同居から始まる恋もある!?
低い声音には怒りが含まれている。
「ううん、ごめん。美帆と飲んでたの」
「今は、家にいんの?」
「うん。美帆も酔っ払っちゃってさ。今わたしの部屋で寝てる」
「アイツは?」
もちろん芹生のことだ。わたしは少し口を濁しながらも、「部屋にいるよ」と伝えた。
「ねえ、武……、今度武の家に行ってもいいでしょ?」
「ああ。けど、おまえいっつも遠いからって嫌がるじゃんか」
武は実家暮らしのため、大学から電車で1時間。付き合いはじめてからというもの、彼は大抵わたしの部屋に入り浸っていた。
「ふたりきりになりたいから、家族がいないときね」
「ああ、それならいいな。お盆あたりなら、俺だけになるよ」
少しは機嫌をとりもどしてきたかな。それにホッとしながら、他愛もない話をする。
そっとガラス越しに部屋の中をみると、シャワーを浴び終えた芹生がベッドに身体を預けながらスマホをいじっていた。
芹生がいる。
カレシと電話しているのに、そんなことを確認してホッとしている自分がいる。
「夏が終わるまでの辛抱だろ」
「……、うん」
「ほんと、ダメな大人だよな」
武が電話の向こうで笑うのに、わたしは無理矢理笑顔を浮かべるだけで精一杯だった。
テレビ電話じゃないんだから、それが武に伝わるはずもないのに。