同居から始まる恋もある!?
『起きろ、寝たら死ぬぞっ』
『うぅ…』
胸倉を掴んで、耳元で更に声を上げようとしたとき、ようやく男はその目蓋を開いた。
『……痛い。あれ、君は…』
『こんなところで寝るなんて、無用心過ぎですよ』
わたしは掻き集めた荷物を手渡す。中身を確認していた彼は、「あっ」と声を上げて、情けない顔でわたしを見上げた。
『財布の中身……ない』
『…のようですね。カードは?』
『それはセーフ。不幸中の幸いか……はぁ……』
大きな溜息を吐きつつ、彼はよろよろと立ち上がった。まだアルコールが残っているのだろう、ふらふらと足元が覚束なくて、危なっかしい。
『山下さん、どこ行くんですか?』
『…も少し時間潰して、ケーサツ行こうかと…て、あれ』
驚いたように目を見開いた。
『俺、自分の名前言ったっけ?』
『ううん。学生証見たの。わたし、深山サチ。山下さんと一緒の大学で同じ学科みたいよ。ていうか、べろべろに酔っ払ってたけど……、あなた未成年じゃ……』
『いやいや、俺二浪してるから!……て、大声で言うことじゃないんだけど……。ていうか、まじで。すげえ偶然だなぁ』