同居から始まる恋もある!?

「芹生さんこそ、こんな朝早く何してるんですか?」

「俺は、バイト。バーテンダーやってんの」

「へえ!素敵!バーとかお洒落ですよね。今度行ってみたいなぁ……」


小首を傾げながら、上目遣いでそんなことを言う。
俺は、鞄の中から名刺を取り出して、美帆ちゃんに手渡した。


「Bar ロッカバラッド?素敵な名前ですね」

「俺がいるときに来てくれれば、出来る限りサービスするよ」


さりげなく営業してみる。美帆ちゃんは嬉しそうに名刺を眺めて、それを財布に仕舞う。


「芹生さん」

「ん?」

「このあと、暇ですか?」


おずおずと美帆ちゃんが俺の裾を引っ張った。
この子はきっと、いわゆる『小悪魔』とかいうタイプの女の子なんだろうなー、なんて。冷静にそんなことを考えてしまった。


「折角だけど、ごめんね」

「え。なんで?こんな朝から何か予定あるんですか?」

「いや、えーっと…」


美帆ちゃんは、一向に引き下がろうとしない。
俺みたいなオッサン(……まだ25だけど、女子大生にしたらそんな感覚じゃないかな)を、なぜそんなに誘ってくれるんだろう。


「朝ごはん作んなきゃでさ……、ほら、俺居候だから」


我ながら酷い理由だ。
そして、サチは別に俺のつくる料理をそんなに待ってもいない。俺が勝手につくるだけ。

< 70 / 173 >

この作品をシェア

pagetop