同居から始まる恋もある!?
「芹生さんこそ、こんな朝早く何してるんですか?」
「俺は、バイト。バーテンダーやってんの」
「へえ!素敵!バーとかお洒落ですよね。今度行ってみたいなぁ……」
小首を傾げながら、上目遣いでそんなことを言う。
俺は、鞄の中から名刺を取り出して、美帆ちゃんに手渡した。
「Bar ロッカバラッド?素敵な名前ですね」
「俺がいるときに来てくれれば、出来る限りサービスするよ」
さりげなく営業してみる。美帆ちゃんは嬉しそうに名刺を眺めて、それを財布に仕舞う。
「芹生さん」
「ん?」
「このあと、暇ですか?」
おずおずと美帆ちゃんが俺の裾を引っ張った。
この子はきっと、いわゆる『小悪魔』とかいうタイプの女の子なんだろうなー、なんて。冷静にそんなことを考えてしまった。
「折角だけど、ごめんね」
「え。なんで?こんな朝から何か予定あるんですか?」
「いや、えーっと…」
美帆ちゃんは、一向に引き下がろうとしない。
俺みたいなオッサン(……まだ25だけど、女子大生にしたらそんな感覚じゃないかな)を、なぜそんなに誘ってくれるんだろう。
「朝ごはん作んなきゃでさ……、ほら、俺居候だから」
我ながら酷い理由だ。
そして、サチは別に俺のつくる料理をそんなに待ってもいない。俺が勝手につくるだけ。