同居から始まる恋もある!?
「あ、そうだ!武君、サチ見なかった?」
「サチ?いや、今日は大学の友人と来てましたから」
「……実は、」
サチと一緒にこの祭りに来ていた事を話せば、当然のごとく武君は不機嫌そうな顔をした。
「ごめんな、武君。や、サチは、全然悪くないの。俺が、どうしても花火見たくて、無理矢理付き合ってもらっただけで……」
「怒るのは後にします。とりあえずサチを探しましょう。スマホにはかけました?」
「さっきからかけてんだけど、なんか電波が届かないみたいなんだ」
「……着拒されてんじゃないすか」
武君は冷静にそんなことを言って、手馴れた様子でサチに電話を掛けた。すると、電波が届かないはずのサチに電話が繋がる(…まじか)
もしもし、武君の声音に少しだけ優しさが加わる。
「ああ、……うん、今何してんのかなって思って。美帆ちゃんちにいくの?そっかわかった。じゃ、また」
たった数秒の会話から、すぐにサチの居場所がわかる。
それにホッとしたのとモヤモヤした嫌な気持ちが同時に生まれて、俺は思わず眉間にしわをよせてしまう。
武君は、そんな俺を見て呆れたように笑った。
「なんて顔してんですか」