きみといつまでもいたい

彼は手元のファイルをめくった。

そこには、黒い排煙をあげて燃え上がる車の衝突事故の写真があった。

地方紙の一面を飾ったその写真には、こう説明が加えられていた。

『1999年8月15日(日)午前11時30分頃、市内公会堂前の交差点にて、信号無視して突入してきた乗用車とトレーラーが衝突、炎上。乗用車は大破。死者2名、重症者子供1名。死亡したのは、乗用車を運転していた古谷大樹(37)とその妻ジョセフィーヌ(35)。』

そして、約一月後の9月23日、社会面の一角に載った小さい記事へと目を移した。

『今年8月15日、死者2名、重症者1名を出した公会堂前交差点での交通事故は、自動車整備会社の整備不良による業務上過失致死容疑で捜査が続けられている。』

それは古谷樹から渡された、聖夜の遭遇した不運な事故の詳細だった。
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