きみといつまでもいたい

「あたしミルク。

牛乳のことよ。

変な名前、やんなっちゃう」


その女の子は、口を尖らせて拗ねてみせた。


「僕、カフェ・オ・レが好きだよ。

だからミルクはかかせない。

ママンもだよ」


聖夜がそう言って笑うと、

「カフェ・オ・レ?」

その子は、首を傾げて呟いた。


「『カフェ・オ・レ』っていうのはだな、苦ぁいコーヒーと牛乳をちょうど同じくらいの量を混ぜて作るフランスの飲み物だ。

古谷のお母さんは、確かフランスの方だったな?」

「はい、ママンはフランス人です」

「すげぇ~」

と、あちこちから声があがった。


聖夜は何が凄いのか、皆目見当がつかなかったが、何だかちょっと誇らしい気がした。


「あたし、ミルク!」


その小さな少女は、今度はとても嬉しそうに笑いながら、もう一度聖夜に自分の名を告げた。

聖夜は彼女の笑顔が眩しくて、少しだけ目を細めた。

それが、聖夜と美留久の初めての出会い。


聖夜が美留久を特別に感じた、最初の記憶。
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