大好き‥だよ。

転校生

堀内先生が私達のクラスの担任になって、2ヶ月が経った。

相変わらずの西山君は、ほぼ毎日のように先生から注意を受けていた。最初は「可愛そうに‥」と哀れみの目で見ていた私達だったが、反省の色が全く見えない西山君の言動に、いつしか「当然の報い」と思うようになっていた。


堀内先生が担任になってから変わったことが2つある。1つは、給食を残さず食べること。

先生は、食に関しては特に厳しく、お皿に盛ったものは必ず食べないといけなった。中学年にもなると、男子の食欲は去年と比べものにならないくらい多く、それに合わせてクラスに配当される食事の量も多くなっていた。

男女平等に取り分けられると、全部を食べきることが困難なため、堀内先生が担任になってからは自分の分は自分でお皿に盛るようになった。

最後に食べ残したものがないかどうか先生がチェックし、嫌いな食べ物を残していると、給食の時間が過ぎても机の上に食器と箸が机の上に置いてある人が何人かいた。


私も‥どうしても食べられないものがあった。それは「納豆」。

パックから開ける事もなく、いつも睨めっこをしていた。6時間目が終わっても机の上に置かれていると、給食センターのおばちゃんが「食器の片づけが出来ないから」と言い、先生はしぶしぶ箸を片付けるように言いつける。納豆は持ち帰る破目にはなるけど、食べずに乗り越えられるのはパックに入っているお陰だといつも思っている。

ありがとう、パック。

この時は給食を残しても恥ずかしさなんてなかった。でも、10年後‥林間学校のアルバイトをした時、納豆が食べられなくて小学生と一緒に残される破目になるなんて、この時は思いもしなかった。


そして、もう1つ変わったことは‥クラスメイトが1人増えること。私達は、当日の朝までその事を知らされていなかった。
< 102 / 270 >

この作品をシェア

pagetop