大好き‥だよ。
家に帰って来て、レジ袋を逆さにし買ってきた商品を机の上に散らかした。

『えっと~』

一つ一つを掻き分け、あるものを捜した。

『あったあった!!「初心者でも簡単に作れるトリュフ」
ん~見るからにおいしそう☆』

頬に箱を当てて上下に動かした。

『可愛く変身させてあげるからね。ちょと待ってて』

ルンルン気分で食器棚からボールや計量器を出し、エプロンをつけてトリュフ作りを開始した。


『えっと何々。まずは板チョコを溶かしやすいように刻む‥か。これなら本当に私にもトリュフが作れちゃうかも(笑)』

まな板に板チョコを置いて、丁寧に包丁で刻んでいった。始めは軽快な音が台所に響いていたけど、徐々にリズムが遅くなって来た。

『硬くて‥大変‥。こんなに大変だって分かってたら、始めから刻んであるチョコを買ってくればよかった‥』

弱音を吐きつつも、最後まで諦めずに刻むことができた。

愛の力は偉大だと思った。

『よし!次の工程は‥』

箱を裏返し、手順2を読み上げた。

『ボールに刻んだチョコをいれ、お湯で丁寧に溶かす‥か。了解しました!!』

説明通り丁寧にチョコを溶かしていった。この作業は時間がかかるので、途中で鼻歌を歌いながら楽しく作業をした。

『えっと、ここで牛乳を入れて。‥うわぁぁあぁぁ』

手が滑って、書いてある分量より多めに牛乳が入ってしまった。

『あっちゃぁ‥。どうして私ってこんなにドジなんだろう‥』

ミルク色に変わってしまったチョコを見ながらしょんぼりした。

「失敗かな」と思い、一旦火を止め箱を片付けようと持ち上げた。すると、そこにはホワイトトリュフの作り方が書いてあった。ポイントは、牛乳を少し多めに入れるだけ。

って事は、もしかして失敗してない?

目をキラキラ輝かせてチョコを見ると、少しずつ固まってきていた。

『えっえっと、次は何をするんだろう?』

慌てて手順3に目を通した。
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