大好き‥だよ。
『和樹君と、どんなお揃いの物を買ったの?』

『なっ、えっ?』

慌てて持っていた袋を後ろに隠していた。

その反応にしめしめと思い、目を合わせてにっこり笑い顔を近づけた。反対に、華代はジリジリと後退りした。久しぶりに立場が逆転した。たまには攻めるのもいいなと思いながら、もう少しいじることにした。

『結構待ったんだよね~私達。
そういえば今日って平日だから、そんなに人いなかったような。それにしては3人が戻ってくるの遅かったよね。何処まで行ってたの?(笑)』

私の不気味な笑顔に観念したのか、ため息混じりで話してくれた。

『分かったよ、今回は私の負け‥』

華代は持っていた袋から、包まれたばかりのお土産を見せてくれた。それは色違いのキーホルダーで、2つが重なるとある言葉が完成するものだった。

ある言葉とは

『”LOVE”ねぇ~。熱々だね』

右ひじで華代の左腕をグイグイと押した。「痛い」と言いながらも、とても幸せそうな顔をしていた。


お揃いの物か。

少し前の私だったら、きっと羨ましがって欲しいな~。って口にしていたと思う。

でも今は違う。

一緒にいられるだけでいい。ううん、さっき言ってくれた”もう少し待って”と言う言葉と、あの時見せてくれた真剣な表情さえあれば、私は大丈夫。

今この時この瞬間感じたことを忘れないように、しっかり心に刻みつけた。

待ってるからね

俊チャンの大きな背中を見つめ、背筋を伸ばしてしっかりと立った。


『結?』

どうしたの?と今にも言い出しそうな顔で見ていた。

『何でもないよ。
ねぇ~残り時間もあと少ししかないから、最後にあれ乗らない?』

『そうだね、そうしよう!!』

3人の元に駆け寄り、仲良く5人で観覧車に乗った。少し窮屈に感じたけど笑顔が絶えなかった。


これが‥5人で遊んだ最後の思い出になるなんて、このときは思いもしなかった。
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