大好き‥だよ。
『いいな~結は‥』

『急にどうしたの?あっ!!‥‥ごめんね?』

『ううん。近くで見れたからいいよ』

そう言って華代は私に微笑みかけてくれた。


華代とは、初めての席替えをした時、前後に座ってから仲良くなった。ずっと男の子と一緒にいた私にとっては初めての女友達。

華代には私の好きな人は言っていないけど、私の態度で分かってしまったみたい。私も、華代とずっと一緒にいて華代の好きな人が分かってしまった。そう、和樹君が好きみたい。

華代は女の子の前ではよくしゃべるのに、男の子の前になると静かになってしまう。そんな所が可愛いと思うけど‥もったいないとも思う。だって、こんなに可愛いのに。

どうにか仲を取り持ってあげたいけど、私ってそう言うことは苦手だから何も出来ないでいた。


『ねぇ結。今さらなんだけどさ?』

『うん。どうしたの?』

『なんで俊君が指揮をやることになったの?』

『なんでって‥そっか。あの日、華代休んだんだっけ』

『うん。ちょっと気になってたんだ』

そいえば、いつの間にか俊チャンが指揮をやることになっていたんだっけ。


ピアノは、田中さんが立候補してくれたのですぐに決まった。でも、指揮者がなかなか決まらなかった。あみだくじで決めようと先生が提案したとき、田中さんが「学級長がやればいいんじゃないですか?」と推薦し、その一言で決定した。

その後、田中さんは打ち合わせをしようとか、先生が呼んでるよとか、何かしら理由を付けては俊チャンと一緒にいて、いつの間にか「俊」と呼ぶようになっていた。俊チャンには変化は現れないけど、田中さんはもう見てて分かるくらい幸せそう。

そんな二人の姿が気に食わないのが3姉妹。音楽会が近づくにつれて放課後の二人の打ち合わせが増えたことに腹をたたせていた。

それからクラスの男の子も。放課後の歌合せの為に、遊ぶ時間が激減してしまった。って、そんな事言い出したら俊チャンもか‥。


とにかくクラスの中がギクシャクしてて大変!!早く音楽会‥終わらないかな‥‥私はいつもそう思っていた。

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