大好き‥だよ。
数日後、待ちに待った音楽会が開催された。低学年から順番に歌う事になっていたので私たちのクラスは一番だった。

何もかもが初めての私たちは、直前まであたふたしていた。そんな私たちを落ち着かせようと、先生がある秘密兵器をこっそり広げた。私たちはそれを見て思わず噴き出してしまった。

『先生~』

『あっ!やっと笑った』

『本当だ。なんか急に落ち着いてきた』

『1年1組の良い所は、クラスみんなが仲良しで元気な所です。クラスの団結力は全校で一番だと先生は思っています。今、みんなが持っている100%の力を出し切りましょう』

『『『はぁーい!!』』』

私たちは元気よく返事をした。


『事前に配られているパンフレットを開いてください。最初に歌ってくれるのは1年1組のみなさんです』

司会の先生の紹介の後、私たちはステージの上に立った。照明の明かりがとても眩しかった。目を細めると、正面に秘密兵器を持って応援している女の人が一人。

「クスッ」これから本番だというのにみんなの肩がピクピクしていた。俊チャンは「ゴホン」と咳をして、みんなの視線を自分に寄せた。

普段どおり指揮棒が上がるとみんなの目つきが変わり、前奏が流れ出した。そして5分間。自分達の持っている力を出し切った後、満足した顔でステージの脇から降りた。


『先生!あれはないっすよ(笑)』

『あれって?』

『「校庭の確保と道徳の時間を体育に♪」って書いてあるタオルを振り回す行為』

『バレちゃってた?』

『『『バレバレ(笑)』』』

直後、司会の先生に「静かにして下さい」と忠告を受けたのは言うまでもないこと。


気になる音楽会での成績は、なんと全校で5位。目標は達成できなかったので、校庭の確保はしてくれなかったけど、先生は道徳の時間を体育に変更してくれた。いつもの体育よりも、ずっとずっと楽しくて私たちの心に残る時間になった。


私たちの担任の先生は最高の先生だ!!
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