光~夢見るホタル~
夢のような1日

いつも

 そう、それは彼女、ホタルが12のことだった。
 彼女は生まれ持ちからだが弱い。外にあまり出たことがなく、学校にも行っていない。
 だから、彼女には友達がいない。
 話し相手はいるけれど、それは仕事のついで。家に使用人は4、5人いるけれど、たぶん、彼女のことを本当に思っている人はいるだろうか。
 メイドのエレンぐらいだろう。おデブで少し変わり、あのエレン。噂好きの情報通という評判だ。
 両親は、彼女に興味がない。無関心。愛情がない。
 跡取りになれるわけでもなく、働けるわけでもなく、ただ家にいてお金を使うだけの捨て子。
 そう、ホタルはこの家の前に捨てられていた。生まれてから、1年足らずのホタルが玄関の前に捨ててあった。
 今にも死にそうな状態だった。なんとか、一命を取り留めたが、その後も病気を繰り返すホタル。
 そんな手間がかかる子供、誰が欲しがるのだろう。きっと、捨てられた理由も、そんなところだろう。
 だけど、この家の人は彼女を育てることにした。もう、跡取りの息子がいるのに。
 理由はただ1つ、評判のためだ。下級貴族には、評判が何よりも大切だった。特に、この家の人は評判を良くすることが生きがいだった。
 手がかかる娘がいるというだけで、他の貴族から『お気持ち』をもらうことも出来た。
 彼女は自分の部屋から出ることは、滅多になかった。
 彼女が部屋から出てるのをこの家の人に見られでもしたら、大変だ。
 口々に「金だけがかかる役立たず」と言われる。
 遠回しに、部屋から出てこないでと言われる。
 こんな彼女が生きていることに、幸せを見いだせるだろうか。
 
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