先生アイシテル
この日も、宮崎はいつものように早足で屋上へかけ上がった。


午前中はぶっ続けで授業が入っていた。


「今日に限って…」


一日のうちに、遺伝の法則の話をこんなにするとは思わなかった。



いくら仕事とはいえ、さすがに嫌にもなる。


しかも生徒からは同じような質問攻めにあう。



そんなに自分の説明は分かりにくいのだろうか…



10年近く生物の教師をやってきたが、そう言われると自信がなくなってくる。



一刻も早く外界の空気を吸いたかった。

気分は、まるで閉鎖的なカゴの中で 繰り返し同じ言葉をさえずる九官鳥だった。



はぁはぁはぁ…



宮崎は息を切らせながら、屋上のドアを開けた。



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