魔王家
―受験当日―

正直魔王は試験勉強などしていない。

将来の決まっている自分は高校に行かなくてもよいと思っていたからだ。

無駄なことは嫌いだ。

でも中卒のカッコ悪い魔王も嫌だし、高校に行かないことでメイヤに怒られるのも嫌だ。

「我に秘策あり」

魔王はあるアイテムを用意していた。

「これさえあれば。先人は何故このことに気づかなかったのか。多少危険ではあるがな」

自分に酔っていた。
自分がこの素晴らしいアイテムを考えたのだと。

試験が始まり、そのアイテムをこっそり広げた。

魔王は試験官の気配をいち早く察知しながらアイテムを駆使する。

「誰ももえに気づかぬ。誰もアイテムの存在に気づかせぬ」

当たり前だ。

空手の達人は気配を消すなど朝飯前である。

いや違う。

アイテムの存在は普通に知られてはいけない。

無事に試験は終わった。

「完璧じゃ」

『カンニングをしてはいけない』ということの裏をついた完璧なアイテム。

「メイヤに教えてやろうかな」

と自慢気。

後にメイヤから

「将来の大物がそんな姑息な小さいことをしてはいけません」

と怒られたのは言うまでもない。




修得:ずる賢さ
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