傷、のちに愛



「…のに」

「…和葉?」

私の頬に熱いものが流れる。
頬を伝い、滴が落ちる。

「――もう誰にも言うつもりなかったのに」

あんなこと、聞く側だって楽しい話じゃない。

でも、この我慢を崩したのはあなた。
責任とって、最後まで聞いてよね。





―――私は、すべてを話した。

手はつながれたまま、私を支えるように堅く結ばれていた。









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