傷、のちに愛



そのまま今夜は絵美のアパートに泊まることにした私は、絵美と一緒に夕食を作ったりお笑い芸人のバラエティー番組を見て過ごした。

絵美がいなかったら、こんなに穏やかにしていられなかっただろう。

そう感じていたときだった。


―――♪♪♪

私の携帯が鳴る。

私たちは顔を見合わせ、携帯を見つめた。

ディスプレイには“小早川千秋”の文字が表示されている。

「…絵美、出てよ」

私がそう言うと、絵美は無言で頷き電話に手を伸ばした。


「はい」

絵美が電話に出たのを確認して、私は思わずトイレに隠れた。

また、涙が溢れた。



.
< 87 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop