爽やか王子と内気少女



「あっありがとうね…」


恥ずかしさから下を向いてお礼を言った。



そのまま永井君は離れて行くかと思ったけど、私に被さった影は離れなかった。


「永井君?」


不思議に思った私は顔を上げて永井君を見た。




「こないださ、バスケのゲームの時…」


「ん?…うん」


「新垣が田中を応援してるの見て凄く羨ましかった…」


「へ?」


「だから新垣が応援してくれた時、嬉しかった…勝てた時も嬉しくて直ぐに新垣を見たんだ…」


えっ…あれ、私にだったんだ……


それを聞いて、梨華ちゃんへの申し訳ない気持ちと、嬉しさが込み上げてきた。


……だめ…嬉しがっちゃ駄目。


でも、梨華ちゃんの顔が浮かべば、嬉しさが素直に喜べない。





 
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