氷菓少年は天然少女にかなわない
全員揃ったのに、教壇に立つ黒宮は不機嫌でクラスは静まり返っている。前の席である梨久と春夜の近くに座る二人は腐れ縁の友達で、高田俊哉と宮原佐助はひそひそ声で話す。



「今に始まった事じゃないが……黒宮が黙ってると、不気味すぎる」

「だな!くろ性格が子供だし、仕返しとか考えてないといいけど」

「佐助……今日最初の授業、ホームルームだ」



鳶色の髪に甘いルックスの俊哉は意外にも家が八百屋。



オレンジ色の髪が目立つ、シルバーアクセサリーが好きな佐助。



まるで無関係なような顔をしている梨久を春夜が睨む。



「朝の事根に持ってんだからなっ」

「はるが悪いんだろ」



静まり返った空気を破ったのは、当の本人だった。



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