氷菓少年は天然少女にかなわない
無言のまま歩く梨久の後ろを笑佳が嬉しそうについて歩く。



まるで鴨の親子のように。



梨久がふいに並木道の真ん中で立ち止まる。笑佳も同じように立ち止まり、何故立ち止まったかさっぱりわからない笑佳は不思議そうな顔をした。



「なんでオレに構うの?オレは女が嫌いだし、こんな冷たい言い方しかできないのに――嫌じゃないの?」

「なんで?りっくんといると、わたしいつでも楽しいよ」

「……意味わかんない」



そう呟きまた歩きだす。



笑佳も同じようにまた歩きだし、梨久について行く。



そんな小さな事が笑佳は嬉しくて笑みを零す。そんな二人を見ていた影には気づかなかった――



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