氷菓少年は天然少女にかなわない
どうしてこんな事になったのか。



梨玖がそう思った時同じくして笑佳もそんな事を思った。



下駄箱で上履きに履き替えようとした瞬間、見た目からして派手な化粧の濃い女子数名に囲まれ有無を言わさず連れて来られ、今に至る。



中心人物であろう女子が嫌な笑顔を浮かべる。



「ねぇ神無月さん。梨久に付きまとうのやめてくれる?梨久も迷惑してるの、わかるよね?」

「りっくんから聞いてません。だから、信じません」

「はあ?どの口がそういってんの?その呼び方がずうずうしいのわかんないわけ?」



別の女子に思いっきり睨まれても笑佳はハッキリとこう告げた。



「仲良くなりたいからそう呼ぶ事の何がいけないんですか?りっくんとお友達になりたいだけなのに、どうしてあなた達がダメっていうんですか?」

「この!」



咄嗟に目をつむるが何も起こらない。カッとなって振り上げられた手が、笑佳に降り下ろされる事はなかった。



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