氷菓少年は天然少女にかなわない
幼なじみだから
いつも絶対女の子(自称恋人)のためにしか走らないが、今はたったひとりの幼なじみのために全力疾走している。



廊下は走らないという規則は元々春夜の頭の中には存在しない。



途中すれ違う度に教師がまたお前か、と怒る人もいれば、追いかけて来る人もいるが、体力的にきついのかうまく逃げきる事ができた。



「一体どこ行ったんだよ、あいつ……」



気持ちが焦れば焦るほど、冷静な判断ができなくなってくる。ちょうど渡り廊下に出た時、裏庭のベンチで空を見上げている少年を見つけた。



「梨久……!」



いったん止まった足を再び走らせる。



春夜の頭の中には梨久の事だけだった。



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