乱華~羽をくれた君~【完】


「なんだぁ?あいつら」



振り返ると、百合がずんずんと先へ歩いて行った。



「え、おい百合!?待てよ!」



百合の後を追いかけ、昇降口へ向かった。



「急になんだよ?!あいつらなんなの?」


「・・・」



俺の問いかけにも百合は無表情で、無言のままだ。


そして百合が自分の下駄箱を開けたとたん、その事実がわかった。


下駄箱の中には生ごみや汚物や色んなものが詰め込まれていた。


下に落ちた紙には『死ね』『ブス女』などと書かれている。




いじめにあっていたのだ。




「お前・・・いつから?」


「・・・陸が学校来なくなって…少ししたころかな・・」



百合は下駄箱の戸を閉め、上靴のまま外へ出た。



「・・・さっきの奴らか?」



俺は戻ってあいつらをブン殴ろうと思っていた。


上級生だから、女だからとか関係ない。


そんな俺の考えに気付いたのか、百合は俺の腕を掴んだ。



「いいの・・・!!!
それより、少しどっかで話そう?」




少し悲しげな表情で俺を見つめてきた。


百合がいじめられていたなんて。


広樹は一言も言ってなかった。



・・・広樹も知らなかったのか?


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