乱華~羽をくれた君~【完】


乱れた髪の毛の隙間から陸さんの顔が見えたので、がしっと両手で顔を掴み、キスをした。



「ありがとう。あたしと出逢ってくれて。あたしを羽ばたかせてくれてありがとう」


「・・・・・・ナマイキ」



ぐっと力強く抱き締められた。



「今度は奈緒の母ちゃんに会いにいかねぇ?」


「・・・うん・・・」


「卒業したら・・・籍入れたいって事いっときてぇし」



・・・・・・籍!?



「せ、籍って・・・」



「・・・結婚しねー?」



あまりにも驚くことを言われると、人はしゃべられなくなってしまうものなのか。


あたしはしばらく固まって動けなかった。



その様子が面白かったのか、目の前で笑い転げてる陸さんを見て本気なのかと問いただすと…



「一生俺の側にいろよ」



と、出逢った当初の意地悪な笑みを浮かべて言い、深いキスをしてきた。






君はあたしに大きな羽をくれた。



希望と幸せの羽を。



それを背中につけて今、新たなスタートラインに立っている。



そう、あたし達の物語は始まったばかり。



これからこの羽をつけてどこまでも飛んでみせるよ。



君が幸せになるのならば。






END***

< 262 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop