未来観測
その日を境に。
あたしは廊下で寛人とすれ違っても、わざと視線を合わせなくなった

多分あたしは学校という空間の中で
寛人という存在を全面的に拒否していたんだと思う


そしてそんなあたしの過敏な様子に、寛人は気が付きながらも
何も言おうとはしなかった

むしろそんなあたしを理解してくれようとした


家に来ても外に出てデートしたいなんて一言も言わなかったし
あのちっぽけなあたしの家で
今二人でできる最大限の幸せを実現させようと努力してくれた


彼は優しい。
そして何よりあたしの幸せを一番に考えてくれている

だからあたしもそれに答えなくちゃ。



そんな悪循環が
何よりの幸せにつながると思っていたその頃の自分。

それが間違いだと知ったのは

ほんの一週間後のことだった


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