未来観測
「意味分かんない…」


何をどう伝えれば上手くいくのか
必死に頭をフル回転させる

そんな中、重い口を開くように
彼がぼそっとこう呟いた


「じゃぁ先生…一つだけ教えてよ」


「…?」


「俺は先生にとって恥ずかしい存在なのかな?
誰にも知られたくないような…そんな存在?」



胸に何かが突き刺さったように
そこから鈍い痛みを感じた

一番言われたくない言葉を、たった今彼の口から言われてしまったから。


否定したいのに。
そうできない自分がいる



「分かってるよ。誰にも言えないことくらい。
俺は別に誰かに言いふらしたいとか…
認めてもらいたいとか…そんな風に思ったことは一度もない。

だからこの部屋で先生に会えることだけが、一番の幸せだって思ってた。

だけど…

それってそう思いたいだけなのかもしれないなって。
自分でそう思い込ませてただけなのかもって…
最近よくそんなこと考えてた」


やめて…
それ以上もう何も言わないで…

お願いだから。



「…俺先生のこと信じたいけど。
だけど今のままじゃ無理だよ」




残酷で

悲しい言葉が

彼の口から投げ出されていく


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