EMERALD


みちるは、二つ目のケーキを大きな口で食べている


もう一個、上に乗っている真っ赤な苺を食べる

口の中に広がる、少し甘い酸味


飲み込んでしまえたらいいのに

この胸の、愚かな恋を

飲み込んでしまえば、消えて忘れてしまえるのに


真っ白なクリームの中で、真っ赤な苺は存在を主張している


飲み込むなんて無理

忘れるなんて無理


そう言われている気がした


ケーキは、とても甘かった


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