What's love?

今、佳奈は何て言った?

佳奈の肩から、するりと俺の手が落ちる。

「大和、前に言ってたよね? 美咲とは体の関係も何もない、ただの友達って」

黙っていると、佳奈は静かに続けた。

「じゃあ、わたしは大和にとって何? 友達?」

佳奈に見つめられて、俺は僅かに首を縦に動かす。

「友達って、都合の良い言葉だよね。友達って言えば、大体が丸く収まる。だけどさ、それってズルイよ」

「ズル……い?」

「うん。大和はズルイよ。友達って言葉で逃げて、誰とも真剣に向き合ってないっ。それで傷つかないのは、自分だけだよ」

勢いよく玄関を開けて、出て行く佳奈の後ろ姿を、俺は呆然と見ていた。

自分の傷を癒すために、俺は佳奈を傷つけていたんだろうか。

美咲に友達と言われて傷ついていた俺は、同じように、佳奈を傷つけていたってことなのか……?

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