深海から見える灯【完全版】

29歳(前編)

『君は誰?』

mixiからのメッセージを見てあたしは首を傾げた。

「誰って・・・」

(聞く前に自分の名前、名乗れよ)

友達を確認すると、共通する友達が中学時代にかなりいる。

ま、いいか。あたしは自分の名前を書いて送信した。


「ええええええええええええ!!!!!」

返信を見てあたしは大声を上げる。


あたしにメッセを送ってきた人物は「モリ」。


ベッドの上、ビックリした心臓がおさまるのを待った。


モリっていえば、中学の時、めちゃくちゃ怖かったヤンキーで、家に1回行ったけど、一瞥して無視したし隣の中学校に上納金納めさせてたらしいし・・・。


(うわぁ・・・、イヤな相手に巡り会っちゃった)


でも、文章は比較的普通だからやり取りをしていても、苦ではない。


(今、この人何やってるんだろう?)

あたしは恐れながらも「モリは今、何の仕事してるの?」と送信した。


『バンドやってる。ギターボーカル』


「え?」

あたしは意外な答えに拍子抜けした。

バンド?

続きを読んだ。

『うららってヒロの友達だろ?懐かしい。ヒロの話いっぱいしたい』




ヒロの話・・・

モリとヒロは同じバンドのメンバーだった。

この人となら少しは話してもいいかな?

「モリはいいヤツ」そう言っていたヒロの言葉を信じよう。

あたし達は電話番号を交換した。


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