深海から見える灯【完全版】

14歳

ある人は言った。
ヒロは雨のイメージなんだって。小雨みたいな優しい雨。


あたしの名前は「うらら」。
春生まれだから、春うららの「うらら」。変な名前。
でも別に嫌いじゃない。
春という季節も四季で一番好きだから。


14歳。中2になりたてのあたしは、クラスに入ってガッカリした。

(友達・・・いないんですケド・・・)

クラス替えがあって、1年の時に仲良かったコは1人もいない。

1年の時のクラスはみんな仲良しで、毎日毎日お祭りみたいで学校に行くのが楽しかった。
担任も適当なヤツで、あたし達がバカ騒ぎしているのを見て呆れながらもつられて乗っちゃう先生。
その先生も今年の春から他校へ転勤になった。

(あたしのクラス、いつもうるさいって苦情きてたからかなー)

なんて考えたりもしていたけど。

そんなお祭りクラスから一転、あたしの新しいクラスは・・・

・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・

シーーン・・・・


みんな、自分の席に座って新しい教科書をパラパラめくっていたり、窓から遠くを眺めていたり・・・・

話をしているのなんて、数人!40人もいるのに数人しかいない。

「はぁ・・・」

あたしはドアに寄りかかってため息をついた。

こんなマジメちゃんクラスに馴染めるのかなー、あたし・・・。
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