深海から見える灯【完全版】
「楽しいか?女子大生」

男の子はベッドに座ってあたしに聞いた。

「うん。楽しいよ。友達いっぱい出来たしさ、いつも集団行動。うるさいのあたし達」

あたしは笑いながら言った。


大学に入って、結構メンバーが固定されてそれは大人数であたし達は相当うるさい集団になっていて、かなり目立っていたと思う。


「紹介してくれよ、女子大生」

「無理だね。あんたなんて紹介したら、あたし人間性疑われるもん」

「あ、そーですか。せっかくサトシ呼んでやろうと思ったのに」

あたしはその言葉を聞いて「ゴメン!!紹介はしないけど、サト呼んで」とお願いした。

「わかりやすい女・・・」

ミカは呆れた顔であたしを見た。


男の子はあたしの残した焼きそばを食べながら言った。

「前から思ってたんだけど、何でお前サトシの事「サト」っていうの?」

「え?何でって・・・うーん・・・」

あたしはちょっと考えた。



サトはみんなの前ではあたしを「うらら」と呼ぶ。
何で区別してるのかよくわかんないけど、みんなといる時はサトはあたしを「みんなの中の1人」として扱っている。


(あたしも「サトシ」って呼ぶべきなのかな?)


考えてみたけど、昔から「サト」と呼んでるから変えようがない。
サトもそれに対しては特に否定しないからいいのかな?


「可愛いでしょ?サトって響きが」

あたしの苦し紛れの言葉に「そうかぁ?」と首を傾げている。


男の子がサトの携帯に電話してくれた。

「飲んでるから終わったら寄るってさ」

その言葉を聞いてあたしはミカに言った。

「ねぇ、ミカ!!あのさ」

「泊まるんでしょ?いいよ別に。明日遅番だから」

ミカは苦笑いをしている。


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