Black★Joker【完結】
「……急いでいるので」
「この間はそれで逃げられたかもしれないけど、今日は無理だ。神谷は助けに来ない」
クックッと笑う男に虫唾が走る。
この男……補習を受けた帰り道にしつこくナンパしてきたあの金髪男だ。
路地裏に連れ込まれそうになった時の記憶が蘇る。
……そうだ。あたしはこの男がキッカケで龍馬は出会ったんだ。
「……大声で叫びますよ?」
ジリジリと間を詰めてくる男。
あたしはすぐに壁に追い込まれた。
「あんたに手出したら、神谷どんな顔するだろうなぁ……?」
「……やめてください!!」
あたしは男の生温かい息を顔に受けて、男から顔を背けた。
全身に鳥肌が立って、ガクガクと足が震える。
どうしよう……怖い。怖いよ……。
「……――龍馬……助けて!!!」
あたしは無我夢中で龍馬の名前を叫んだ。