Black★Joker【完結】

でも、当り前のように返事はなくて。


焦りばかりが募ってうまく頭が回らない。


美空が川上に掴まっているのはほぼ間違いない。


いつもすぐに電話に出るはずの美空が今日に限っては何度かけても出ない。


それに川上のあの言葉……。


もしあの言葉が俺をおびき寄せるための嘘だったらどんなにいいだろう。


美空に万が一のことがあったらと考えると、全身に嫌な汗をかく。



「……美空……――!!」


美空だけは絶対に巻き込まないと心に決めていたのに。


それなのに結局巻き込んでるじゃねぇか。


メソ男だけじゃなく、美空まで……


自分の不甲斐なさにイライラが募る。



「クソっ。どこにいんだよ……」


病院の裏手にある駐輪場を通り抜け電灯の少ないゴミ捨て場に差し掛かった時、近くで微かな物音が聞こえた。
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