Not Forgiven?



拉致られた身としては、目の前の瑠璃にビンタぐらいしたっていいと思う。


きっとみんな許してくれるだろう。


……でも、やっぱり私にはできない。


瑠璃にだけは、やっぱりできないのだ。


だから、きっとさっきの言葉も嘘になる。



「だから……、お願い。
このことは公にしないで」



気づけば、涙が頬を伝っていた。


悲しい涙なのか、悔しい涙なのか、苦しい涙なのか……


どういう意味の涙なのか、それは自分にも分からない。



「…千夏、顔上げて」



< 303 / 308 >

この作品をシェア

pagetop