旅の終わりの物語
気配がした方へ。

この状況を生み出したのが彼女だとすればどうしてこんなことをしたのか。

エルナディアはあの戦いの中でも害さない魔物には優しさを見せていた。

それがどうして、魔物虐殺などしたのだろうか。

足を止めて周囲を見るが、エルナディアはいない。

「どうしてだ」

叫びたかった。

エルナディアに問い詰めたかった。

この場にそぐわない、匂いを感じた。

太陽と空の匂いが混じったさわやかな風のような香り

そっちを向くと、

木の枝に一本だけ長い、淡い空色の髪が引っかかっていた。

「勇者よ」


その髪を手にとり、アストレイは空を仰いだ。

森にそぐわない、綺麗な青空だった。


そこから勇者エルナディアの行方を捜索が始まった。
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