Angil voice ~君の声がこの街に響くように
 俺は途中で飽きて、先に近くの喫茶店で待っているといい、
一足先にスタジオをでた。

30分遅れて坂井が合流した。

「話って・・・?」

アイスコーヒーを一口飲み終えた後で坂井が言った。

「ちょっとね・・・。」

俺はここにきて口を濁らせた。

坂井は俺が話しだせないことを悟って、話を変えた。

「凛は・・・どう?」

「ああ。」

俺は深く頷いた。

「何かあったのね?」

「・・・。坂井言ってただろ。」

「凛の本音を聞いたのね。」

俺は頷いた。



「どう、思った?」

「正直、驚いたけど、とにかく彼女をどうにかしてあげたいと思ったよ。

 だから、今ここに居る。」

「えっ?」

「凛と結婚しようと思う。」

「えっ?」

「ちょっと待って?!

 何をおかしなことを言ってるの?」



「俺は本気だよ。」

「そんな事をして凛が喜ぶと思ってるの?」

「・・・。」

「そんな事を望んでいる子じゃない!!

 私は喜ぶとは思えない。」

「一生で一度の存在だったら?」

「えっ?」

「お前が、生涯その人しか愛せなくて、
 その人の命がもう長くない、

 お前なら何をしてあげられる?」


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