恋にきく魔法
「ふぇ?」
「いくぞっ」
頼斗が無邪気な笑顔を見せると、あたしの視界は真っ暗になった。
え…?

唇に柔らかい感覚。
それはまぎれもない、キス…

なにがなんだかわからなくなっていると、再び視界が開けた。
そこにあったのは優しく微笑んでる頼斗の顔。
え、えっと…
視界が暗くなって、唇と唇がくっついて、頼斗の顔があって…
ってえぇ!?
つまり魔法って…
慌てて口元を押さえると、頼斗はあたしのことを抱きしめた。
「はい、これでお前は俺に惚れる」
「っふぇ…」
あたしのファーストキス…
それは突然現れた魔法使いによって奪われた。


「よしっ、どっか空いてる部屋、ある?」
抱きしめていたあたしから離れると、頼斗は早速家の中を見て回ろうとした。
ちょい待てっ!
お母さん達にはどう説明すれば…
「あ、ご両親からは承諾得てるし、なんか海外に転勤するらしーし」
「はあ!?初耳なんですけどっ!!」
あんの自分勝手ペアレンツめ…
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