恋にきく魔法
「ねー頼斗…」
「何?」
支度が終わって時間余ったあたしは甘めのコーヒーを飲みながらソファでリラックスタイム。
もちろん、隣には頼斗がいる。
「どうやって学校行くの?魔法使えんだったらどこでもドアかなんか出してよ」
「どうやってって、普通に自転車2人乗りだろ」
「えー?なんでそんな大変な…」
それに2人乗りなんて、密着状態じゃん。
また変にドキドキしちゃうよ…
「俺だってなー。人間らしー生活してみたいんだよ。いいだろ?俺がこぐんだし」
「うー……」
子犬のような無邪気な顔で言われると、駄目なんて言えない。
「じゃ、いいよ…」
「っしゃ、キマリ♪」
拳をぎゅっと握ると、鞄とあたしをひっつかんで走り出した。
向かうは自転車。
「ちょっ、痛いってば!」
「いい朝だな、芽衣♪」
「関係ないー!」
2つの鞄を自転車の前籠に放り込むとあたしを軽々荷台に乗せて、サドルにまたがる頼斗。
ったく、朝からハイテンション…
「よし、スピード上げてくぞー!」
全速力でペダルをこぐ頼斗。
すごいスピードで、すれ違う人達が驚いた顔をしてる。
「頼斗、恥ずかしいからもうちょっとスピード下げてっ」
「じゃ、こうする?」
< 19 / 32 >

この作品をシェア

pagetop