like a‥
『美咲!』
突然呼ばれて背中がびくつく。
『あ、そうか、もう昼休み‥』
『何、ぼーっとしてんの?』
『ううん、別に‥』
私は高校卒業後、出版業界に派遣で入社し今年3年目になる。出版業界っていえばちょっとカッコいい感じだけど、ただの雑用ばかりの事務員。
昼休みになれば女ばかりが集まりガールズトークに華が咲く。
正直、苦手。
女の子ってよくしゃべる。
そしてよく群れる。
昔から苦手だった。
『‥で、美咲は?』
『えっ?』
『だーかーらぁ、彼氏!』
『彼氏!?』
『うん、美咲は彼氏まだ出来ないの?』
―――余計なお世話っ!
と苛立つ気持ちを抑えて圭ちゃんの質問に苦笑いで答える。
『うん、出来ないねぇ』
『美咲かわいいのにね』
圭ちゃん。
去年から一緒に働くようになったタメの女の子。どこへいってもちやほやされるタイプの可愛い女の子。
人見知りで内気な私が職場で唯一心を閉ざさないでいられる友達。
だけど圭ちゃんにも秘密。
ホントの私。
私が『ハル』を好きでいる事。私の恋している『ハル』は
私と同じ女である事。