ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「じゃあ…メグの話も聞いて?」

メグちゃんは自分の髪を、指でくるくる巻きながら、少し恥ずかしそうに言った。

「メグ…西藤くんが好きなんだぁ♪」

あたしはプチトマトを、ぽろっと落とした。
プチトマトはコロコロ転がって、机の隅で止まる。

「苺ちんってば、そんなに驚かなくても~。はい♪」
「あ、ありがとう」

メグちゃんはプチトマトを拾って、お弁当箱の蓋に乗っけてくれた。

「西藤先輩って…もしかしてメチャかっこいいって噂の人っすか?」
「そうそう♪やっぱり1年生の間でも噂なんだぁ~♪」

両手を合わせて、嬉しそうにするメグちゃん。

「で、でもさ…西藤くんには、藤堂先輩が居るでしょ?」

あたしは少し、遠慮がちに言う。

「藤堂先輩って、その人の彼女っすか?」

翔くんの問いに、あたしはこくんと頷く。

「彼女居ても関係ないよ~。メグは西藤くんが好き♪」

にっこり笑って言えるメグちゃんは、すごい。

「それにさぁ、いつどうなるかわかんないじゃん?」
「え?」
「意外と明日別れるかもしれないし、今年で先輩卒業だから…卒業したら奪えちゃうかも♪」

そういう考え方もあるんだ…。

「好きなんだもん♪諦めちゃ勿体ないじゃん。ね?」

メグちゃんは少し首をかしげて、翔くんに同意を求めた。

「そうっすよね!諦めたらそこで終わりですもん!頑張ってくださいっ…って不謹慎っすねー」
「不謹慎だけど、メグ頑張るぅ!」


諦めちゃ勿体ない…

諦めたらそこで終わり…


あたしの頭の中では、2人の言葉がぐるぐる回る。
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