ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

誤解。

♪苺side♪


「由紀ちん、苺ちん、早く戻ろぉ?」

教科書を両手に抱えたメグちゃんが、あたしと由紀ちゃんを呼ぶ。

「うん」

席を立って、物理室を後にする。

あたしと由紀ちゃんとメグちゃんは、いつも3人一緒。

あれから…メグちゃんは、いつも通りであって、いつも通りではない。

メグちゃんは…。

「…ご?苺?」
「え?あっ、ごめん」

由紀ちゃんの呼ぶ声に、気付かなかった。

「苺、最近なんか変」
「そんなことないよ」

あたしは軽く笑う。

「そぉ?そっか♪恋患いですか♪」

由紀ちゃんの言葉に、ドキッとする。
いや、ビクッとした、の方が正しい。

メグちゃんの方を…見れない。

「あ!噂をすれば…♪苺、王子様がお待ちだよ♪」
「え…」

ニヤリと笑う、由紀ちゃんの視線を追うと、教室の前に裕くんが立っていた。

「苺」

あたしの名前を真っ先に呼んで、微笑む姿を見ると、思わず「裕くん」って、駆け寄りたくなる。

だけど、思いを堪えて、あたしはただ微笑み返した。

「こっち来るの、珍しいじゃん」

由紀ちゃんが裕くんに話かける。確かに来るのは珍しい。

「ど…」
「西藤くんどうしたのぉ?」

え−…。

あたしが聞こうとしたこと、先にメグちゃんに言われた。

「数学の教科書、忘れたって言ってたから」

裕くんは普通に答える。
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