空気清浄機彼女
「え…」
思わず絶句する男。

うるんだ瞳で見つめ返す女性。

「さよなら…」

女性はそのまま走り去っていった。

桜の森の中
独り取り残される男。

複雑な気分。

もやもやとした気持ちを抱えて
また歩き出そうとした瞬間

男はあることに気がついて
身体が貫かれたように電流が走った。

驚きを隠せない顔。

「おれ…していなかった」

大きな声で
独りごとを言う男。

「おれ…あの娘としゃべっていた間
くしゃみも鼻水も止まってた…

なぜだ?」

そう言った瞬間
またも襲うくしゃみ連発の嵐。

くしゃみの大音響を響かせながら
不思議な気持ちを抱え

男は駅へと向かっていった。



桜の花びらを
頭にのっけて…
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