地味子の秘密*番外編*
そして、現在―――。

大学に入って、杏樹たちとも再会した。



相変わらず。

『会長は八岐大蛇だもん!!』などと、あの天然鈍感娘は言うし。

杏樹と陸のふたりには振り回されていると思うが。


杏樹が陸の隣で笑っている姿を見ていると、俺も嬉しくなる。


アイツが幸せなら、俺もそうなんだろうな。


陸がアイツを大切にしていると毎日間近で見ているので、いいことにしよう。


あの天然娘が一生手に入らないことは確実だが、陸が幸せにしてくれるだろうから。


俺は友人として、コイツを見守って行こう。


杏樹が陸とケンカした時は、俺が話を聞いて。


アイツの背中を押して。

また元のふたりに戻そう。



俺は、そういう役目でいいじゃないか。



時計塔の下。

寝ている杏樹を起こす。


「おい、杏樹。陸が探して……」

「ん~むにゃむにゃ……」



高校を卒業して大学生になっても、何ら変わりない杏樹。



よく生徒会の仕事がない放課後は、こうして時計塔の下で寝ていた杏樹。

今も、あのころと変わらない寝顔。

変わったことと言えば。

さらにキレイになったか?

また男が放っておかない容姿になった。


毎日苦労してんのは、陸だ。

狼になる男たちから、必死にコイツを護っている。




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