地味子の秘密*番外編*
署のエントランスまで行くと小笠原さんが煙草を咥えながら待っていた。

出てきた俺をひとめ見て、ニヤリと笑う。


「蓮ちゃん遅いよ~」

「すみません」

「電話って彼女からだったんだろ?」

「……違います」

「うっそだー! お前の表情が柔らかくなった時は、絶対にあの秘密の彼女が関係してるってわかってんだよ」



ニヤニヤと笑いながら豪語する小笠原さん。


俺、そんなにわかりやすいか?

昔っからポーカーフェイスって言われてきたんだけど……アイツとの電話一本で変わるなんて。

俺も見破られるなんてまだまだだな。

でもこんな風に見破るのは彼くらいだ。

他の人には一度も気づかれたことなんてない。

俺の表情などからズバリと当てる小笠原さんは身なりが軽くても、やっぱ優秀なんだと改めて思った。



「よし、待ってろよ~冷やし中華!」



そう言った彼の後についていく。



「アイツ……なんの話したんだ?」



飲食店に向かう道中、ふと考えたが答えは出なかった。

その晩、改めて茅那に問うたが……話してはくれなかった。



だが、1か月後。


俺は『あの時の話をちゃんと聞いていれば』と後悔することとなる。




それはまた別の話。



END

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