地味子の秘密*番外編*
・・・・・・ムカつく。


でも俺さ、ホントにコイツから好かれてんの?

この天然鈍感娘から。


そう思うと、一気に沈んだ気分になり、抱く気もなくなった。


はだけたシャツ類を着せて、杏を抱き起す。

当の本人は、俺が諦めたと思ったようで、ニコニコ笑顔。

「板チョコ・・・・・・あれで足りるかな?やっぱ、放課後買いに行こうかな?」


腕の中から聞こえてくる呟きに、ため息をついたんだーーー。



「・・・・・・陸、ドンマイ」

「うっ・・・・・・」

話し終え、悠からの一言に、さらに気分が沈んでいく。

だが、ふたりで話しているうちに・・・・・・昇降口についてしまった。

ようするに、第一のチョコの受付場である下駄箱に来てしまったということである。


「どーか、ありませんように!」

チョコが入ってないことを祈りながら、下駄箱の扉を開けた。


その瞬間。


――ドサドサドサドサ・・・・・・!


願いも虚しく、ピンク色をした大量の箱が落ちてくる。


「うわ~・・・・・・去年より多くない?」

隣で呑気にそう言うのは、幼なじみ。

ジロリと視線をそっちへ向けると、悠の手にはキレイにラッピングされた箱が数個握られ
ていた。

「お前何個入ってた?」

「ん?5個だけど?」

代わってほしいと思うのは、普通だと思う。

俺も、そのくらいならよかったというのに。

足元にある箱の数は、おそらく30個は、超えていた。


「みんな詰め込んだんだねぇ~頑張るなぁ~」

所詮は他人事。

悠は、楽しそうにニコニコと笑っている。


「もう帰りたい・・・・・・」

そんなことを呟きながら、チョコの入った箱を拾い上げた。



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