シンデレラ・セル


 私は席について机に突っ伏し耳を塞いだ。それでもそれらは私の頭の奥の奥から聞かされているのだから止むことはなかった。

 凄く、馬鹿馬鹿しいと思う。高校生レベル…お子様の中に自身の居場所が無くとも悲観すべきことではない筈だった。馬鹿な癖に人を馬鹿にするあの馬鹿共の御機嫌取りなんて御免だ。

「馬鹿って云った方が馬鹿…なんですけども…まあ…知ってるけど…」






 廊下の向こうに女子高生のきゃあきゃあ言う声が聞こえる。…ああもうすぐ帰ってきてしまう。私は身体を堅くした。如何して私は学校に来たのだろう。鞄を持って帰れば良かったのに。──扉が開く。

「わ、ビビったー、笹川さんか」
「ホントだ、おそよー」

 私は呆気に取られた。話をしたこともない子達だった。少し引き気味にこちらへ笑い掛けてくるのに私は如何したら良いのか判らなくてただ会釈をすることしか出来なかった。

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