霊務2
【やる気になったのは礼子ー2】




「おばあちゃん任せて。

きっと
ソイツの思い通りには
いかないように
してみせる!」





「おお…
本当かい礼ちゃん?

…ありがたい
ありがたいよ……

今の私にはアンタしか
仲間がいないんだ…」





そう言って深々と
頭を下げるヨネさん。





元・副社長に
頭を下げられるなんて
そうはない事。





それを見ると
礼子の鼻は
ニョキニョキ伸びて、
天狗になっていた。





「おほほほ!!
この礼子様にかかれば
イチコロよ!!

じゃあアタシ
そろそろ行くね?
(お昼食べに)

次の会議には
断るよう
タヌキにうまく
話しとくから」





是非そうして欲しい。





あのタヌキを
説得できるのは
礼子しかいないからだ。





それだけ言うと、
そのまま社長室のドアを
開けた。





「あ、
一つ言い忘れた事が
あった」





ドアを半開きで
顔だけ覗かせる礼子が
ヨネさんに言った。





「なんだい?」





「おばあちゃんの味方は
この部屋に
もう1人いるよ?

見守ってくれてる人は
側にいるから。

それだけ」





そう言って礼子は
バタンとドアを閉め、
去ってしまった。





部屋に1人残る
ヨネさん。





この部屋にいる
仲間って…





「私ですよ副社長」





三山は涙をふきながら
ゆっくりと近付いた。





「私はいつまでも
副社長の側を離れません

アナタの部下で
あった事を
誇りに思います。

本当に…本当に…
ありがとうございます」





フワリと優しい風が
ヨネさんを包み込んだ。





その何かの暖かさを
感じたヨネさんは、

三山に気付きはしないが

とても……

とても……

心地良い気持ちに
なっていた
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