俺様彼氏と空手彼女



「りい…。」



切なそうに名を呼ばれ、胸が苦しくなる。



そして森崎葵はだんだん私に覆いかぶさるように



唇と唇を近付けてきた。




お互いの息が感じられる。




だけど、触れるか触れないかのとこで



突然アイツは、私から離れた。


え…??



その直後、体育館特有の重たい引き戸がガラリと開いた。




「おー、一年か。早いなぁ、関心関心」


と、顧問の先生がニコニコしながら入ってきた。




「他の奴らはまだかー?」



「はい、まだみたいです」

と、森崎葵は答えた。



「おー、そうかー。まぁ、部活は四時半からだからなー。」


と、顧問はのんびりと言った。



「じゃあとりあえず、みせてもらおうかな」


「え??何をですか??」



「決まってるだろう、俺と練習試合だ」

さっきとは違う笑顔で言う顧問。



「確か二人とも経験者だったよなー。」



えっ!?アイツも経験者なの!?どおりであっさり受けとめるはずだよね…。


「さぁ、じゃあどっちから来る?」



「…じゃあ、牧瀬から」


はぁ!?なんで私からなの!?



< 22 / 268 >

この作品をシェア

pagetop