俺様彼氏と空手彼女
「え…っ、璃…」
私がいることに気付いてなかったのか、驚いて目を丸くする凜。
「璃依…今の、聞いて…?」
「顔が同じなら、凜でもいいの!?」
もう、凜の言葉すら耳に入らなかった。ただ今は、自分の気持ちを吐き出したかった。
「ずっと私に付きまとってたくせに、今さらなかったことにしないでよ!!」
「璃依…」
「こんなに好きになっちゃったのに、手遅れじゃない…!!バカ…っ」
ポロポロと、頬に涙が伝った。
ギュッと目をつぶってこらえようとするんだけど、なかなか止まってくれなくて。
恥ずかしくて仕方がなかった。
「璃依…っ」
「…え?」
あいつの、私を呼ぶ声が聞こえたかと思ったら。
私の体は、温かくて安心する香りに包まれていた。