1/5の罪と傷、6%の生きる糧

Vomiting

最近、つわりがひどい。

支配人の奥さんに、

「妊娠している事が分かる歩き方になっているわよ。」
と指摘された。

僅かに崩れたバランスを取るように

歩くから見ればすぐに分かるそうだ。

私は、

ギルダに子供をあげるかあげないか、

何が正しくて何が間違っているのか、

それを考え続けた。


彼と日本でやっていく気はなかった。

彼がサイパンに来るなんていう

非現実的な未来については

メールが来た日の仕事後に電話をして

しっかり断った。

サイパンでは中絶ができない事を言い、

中絶するには日本に一時帰国することが

必要だと伝えた。

彼はお金を工面すると言ったけれど

当時は借金持ちの、ほぼ無理矢理に

私が誘ったような相手にお金を払ってもらう

わけにはいかないと、思った。


サイパンでお馴染みのビーチBBQで

サービスをしているときに、

私のつわりは決まってひどくなるようで、

その都度トイレに駆け込んだ。

私のお腹に命が宿っている。

下腹を触って撫でればなんとなしに

そういう気分になった。

それが自分の思いとは裏腹に

嬉しかったりするのがおかしくて、

その度に複雑な気持ちになり、

本当に中絶しか方法がないのか、

こうと決めたら突き進むだけ私が、

まやかしでも、迷った。




< 31 / 93 >

この作品をシェア

pagetop