1/5の罪と傷、6%の生きる糧
私の思いが、すれ違ったのは、

聡が実家から職場近くに

引っ越した後の事で、

プロジェクターとスクリーンに

11万円も費やした、

という話を聞いたときだ。



引っ越しするのは

お金がかかる。

仕事のためだから仕方ないと

分かってはいる。

だけど、11万はおかしくない?


聡は、前の仕事中の事故のせいで、

片目の視力がほぼない。

私は、彼に視力を直して欲しくて、

借金も返して欲しくて、

その為に他人を騙してまで

聡からはお金を取らなかったのに




絶対に許せない、

そう思った。





その事について、触れることもなく

普通に話して電話を切った。


そして、

それまで私がずっと大切に

首にチェーンを通して持っていた

彼からもらった指輪を

チェーンごと引きちぎって、

壁に思いっきり投げつけた。


私だけが彼を必要として、

私だけが1人で中絶をして、

私だけが人を騙して金を巻き上げて、

私だけが殺した子供の罪を背負って、

私だけが苦しくて、

私だけが・・・・

滑稽。

その事にようやく気がついた。



でも、よく考えれば

それは仕方ない事だった。

だって、彼は私を好きではないのだから。

そう言われた事だってなかったし、

私のような女じゃ、

本当の意味で愛される資格が、

あるわけがない。


もう、二度と電話しないでおこう。

そう思って、私はそれ以降、

彼に電話をしなかった。


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